読書好きの森。

読書好きの、読書好きによる読書ブログです。本を通して、心に宝物を。

読書好きの森。

【LearnBetter/アーリック・ボーザー】

f:id:tomo_book_aya:20200302185103j:plain

 

本書は学び方の根幹の書籍である。

 

ということを確信を持っていえる本である。

 

いわゆる「学校の勉強」のことではなく、

人生においていかに「学習していくか」が386ページに凝縮されている。

 

 

人間生まれてきたら、誰しもがこの言葉を聞いているだろう。

 

「早く、勉強しなさい!」

 

と。

あなたは言われたことありますか?

 

しぶしぶ勉強を始めて、

うまくいったら続けるが、うまくいかなかったら「嫌!」となってやめる。

 

私の子どもの頃は、こんなことの連続であった。

 

そして、いつも思っていた。

 

「こんな勉強、将来役に立つの?」

 

と。

 

とにかく勉強に時間をかけ、「勉強」をする。

勉強に時間をかけた人間こそがえらいんだ。

 

中学生時代の私の考えである。

 

大人に近づくにつれて、ふと思うことがあった。

 

「あれ? A君とは、ほとんど勉強時間は変わらないはずなのに、なんでこんなに成績が違うのか?」

 

「そうか!才能の差だ!仕方ない仕方ない」

 

と逃げている自分がいた。

 

今思うと、逃げていても仕方がないんだなとわかる。

 

この書籍を読み、

 

勉強は「技術」である。

 

と思うようになった。

 

いかに効率よく知識を吸収できるか。学べるか。

 

そのテクニックが山ほど散りばめられている。

 

例を挙げる。

 

① マインドセット

② 学習のコンフォートゾーン

③ モニタリング

④ 検索練習

⑤ 人に教える

⑥ システム思考

⑦ 分散学習

 

などである。

 

その中の1つ。

 

バーダック学習法

 

について紹介する。

 

バーダックとは、お風呂によく浮かんでいる黄色いあひるのことである。

あのかわいらしいあひるが、自分の学習を革命的に変えるかもしれない。

 

どう使うのか。

 

その日に学んだことを、あひるに向かって話すだけである。

 

「ねえねえ。あひるちゃん。今日はね、割り算の筆算について学んだよ。割り算はね、たてる→かける→ひく→おろすの順番でやるんだよ。」

「ねえねえ、あひる。この本はね、職場の人間関係について書いてあるんだ。自分が話すこと以上に相手の話を聞ききることによって、本質が見えてくるんだよ。」

 

のように。

 

とても理にかなった効果的な方法である。

 

「ラーニングピラミッド」をご存じだろうか。

ぜひ、検索してみてほしい。

 

何かを学んだ時に、

 

ただ講義を聞くだけなら、定着するのはたったの5%と言われている。

読書するだけなら10%、実演を見るなら30%。

それほど高くない。

 

しかし、

 

90%定着すると言われる方法がある。

 

それは、

 

「他の人に教える」

 

方法だ。

 

誰かほかの人に教えると、90%定着すると言われているのだ。

 

ラバー・ダック学習法は、その応用である。

 

だれに教えるかは、重要ではない。

自分の学んだことをわかりやすく伝えるという行為が非常に重要なのだ。

 

あひるちゃんでなくても、ぽぽちゃんでも、ポケモンでも、ぬいぐるみでもなんでもいい。

 

ぜひやってみてほしい。

 

 

こんな学習のメソッド、方法が山ほど本書に詰まっている。

 

ご自身の学習のためにも、お子さんの学びのためにも、

 

御家庭に一冊いかがだろうか。

 

「勉強の学び方を教えられる人間」に私はなりたい。

 

 

f:id:tomo_book_aya:20200302200142j:plain

LearnBetter 読書ノート

 

 

 

【夏物語/川上未映子】

f:id:tomo_book_aya:20200302170244j:plain

夏物語 川上未映子


2020年本屋大賞ノミネート作品

 

 

 

芥川賞を受賞した【乳と卵】の集大成となる作品です。

 

「自分の子供に会いたい」

 

38歳、パートナーなしの独身。大阪から上京し小説家としてデビューした夏子。

子供に会いたいという思いが芽生え、精子提供(AID)を決意する。

女性が求められる「役割」とは。

子供を願うということは残酷なことなのか。

 

様々な葛藤とともに答えを探していく。

 

 

登場人物の大阪弁がとてもリズミカルで、生々しくなりすぎず読んでいてそこまで苦痛になることが無かったです。

 

545ページにも及ぶ長編作品。

 

物語は二部作に分かれていて、第一部では、夏子の姉、巻子の娘である緑子が感じる「月経」や「シグルマザーの母親」への思いや不安。

【乳と卵】の物語がテーマになっている。

 

第二部では、精子提供(AID)がテーマとして話が進んでいく。

 

まさしく、「人が生まれて 生きて そして いなくなる」ことのすべてに思考を巡らせる物語でした。

 

女性に起こる、初潮時の不思議な気持ち、困惑、違和感。

初潮の「潮」とは。

 

食べていくためにホステスとして働き、「豊胸手術」について熱くなる母親巻子を気持ち悪いと思う思春期の緑子。

そんな緑子は、大人になることを嫌(厭)がり、困惑していく。

 

親にとって子供とは。

様々な事情で片親になるという、シンママ、シンパパは今となっては珍しいことではない。

離婚を理由に子供と離れ独身となる親もいれば、未婚で出生の認知だけをし一切の関わりを持たない親もいる。

 

AIDにより生まれたという善百合子。

血の繋がらない父親から性的暴力を受けていた過去を持ち、実の父親を知らない。

「一度生まれたら、生まれなかったことにはできないのにね。」

子供は、生まれることを自ら望んでいるわけでもないのに、何故子供を生みたいと思うのか、

子供を生むということはとても暴力的だ。と主人公夏子に問う。

 

偏見を持たれがちでいて、国内ではあまり認知されていない「人工授精(AID)」

それでも欲しい、会いたいと思う「子」という存在とは。

 

ドロドロと色々な考えが駆け回る中、シングルマザーであり小説家である遊佐と娘のくらに心救われる。

子供は自分にとって最高の存在で、最大の弱点。子供って恐ろしい存在だよ。

 

f:id:tomo_book_aya:20200302173740j:plain

 

 

 

これからの未来、子供を産むことに選択肢が増え、家族というものも多様化していくのでしょうか。

いつまでも親にとっての子供は、遊佐のような熱い親心で満たされてほしい。

 

読み終わった後、本当に色んなことを考えすぎて少し放心状態でした。

暖かく懐かしい家族描写もあり楽しめましたが、とにかく深い!!

 

個人的には第一部で焦点があたっていた緑子の成長について、第二部でももっと掘り下げて欲しかったかなという思いがありました。

 

そして作品の表紙にあるこの絵!

何に見えますか?

私は女性が後手で髪の毛をほどいてるように見えたのですが答えがわからず。

読んだ人それぞれに違った見え方がしたらとても面白いなと思いました。

 

感動の超大作「夏物語」。

 

これを書く私自身も母子家庭で育った身です。

日々感謝は尽きません。親って偉大です

 

twitter.com

 

【ノースライト/横山秀夫】

f:id:tomo_book_aya:20200226105105j:plain

ノースライト 横山秀夫


2020年本屋大賞ノミネート作品

 

 

あなた自身が住みたい家を建ててください

 

一級建築士の青瀬稔(あおせみのる)は、とある夫婦、吉野陶太(よしのとうた)と吉野香里江(よしのかりえ)から設計を依頼される。

北からの柔らかい光、ノースライトを取り込んだ渾身の木の家(Y邸)は、建築雑誌に取り上げられるほど絶賛された。

しかし、そこに住んでいるはずの夫婦は姿を消す。

ただ一つ残されていたのはブルーノ・タウトの一脚の椅子だけだった。

Y邸でいったい何が起きたのか...

 

 

実際に実在したドイツの建築家ブルーノ・タウトの生涯と椅子を巡って繰り広げられるミステリー。

 

 

半落ち」や「64」のイメージが強い横山秀夫先生の作品。

横山秀夫らしくない新しいミステリーだったと感じました。

 

 

舞台は建築業界。

建築にまつわる難しい描写も多く序盤はなかなかついていけませんでした。

バブル崩壊で苦しむ中、家族をも崩壊。

それでも自分の生き様を貫き通す、熱い人物たちがいた。

読み進むのにかなりの時間がかかりましたが、温かい人間関係や、家族愛を感じる作品でした。

さまざまな謎と過去とが複雑に交わり合い、驚きと感動の真実が明らかになっていく。

 

 

埋めても埋めても足りないものをただひたすら埋めること

そんな感覚を味わったことはないですか?

足りないものを埋めるために、もがき苦しむ。

もがき続けて、埋めて埋めて。

そんな人生を送ってきた青瀬の親友であり戦友の岡嶋昭彦(おかじまあきひこ)がまたカッコ良い。

 

 

黒く汚い世界に翻弄され衰弱していく親友。

突然の別れ。

そんな彼の意思を継ぎ一致団結する同士たち。

立ち上がり、突き進む同士たちにとても胸が熱くなりました。

 

殺人や事件とはかけ離れた美しいミステリー。

しかしながら、人間や家族との絆を見つめるヒューマン・ヒストリーだと感じる。

 

ノースライト」のように、柔らかく、温かく、美しい思いに包まれる。

 

 

タウトエリカの二つの花が心(しん)を一つにしたような美しい同心梅の愛。

作中では明かされていないこの謎に皆さんは気づきましたか?

 

twitter.com

 

【かみさまは小学5年生・かみさまは中学1年生/すみれ】

f:id:rin_apple:20200219223326j:plain

 

「私は何のために生きているんだろう」

「私は何のために教師をしているんだろう」

その答えが知りたくて

目に止まったこの2冊の本を手に取りました。

 

読む前に自分がこの本を読むことで

何を知りたいのか。

読み終わった時に答えを見つけられるように

「読む前の準備」を行いました。

 

この方法は今私が並行して読んでいる

DaiGoさんの【知識を操る超読書術】

に載っている方法で、早速役に立ちました。

 

その「読む前の準備」がこちらです。

f:id:rin_apple:20200219223943j:plain

 

思いつくままに書いてみました。

 

最初に読んだのは【かみさまは小学5年生】の方です。

 

「幸せ」って何?という大きな大きな疑問。

表紙を見た時、「何か気づかせてくれそうな本だなぁ」と感じて購入しました。

穴を埋めるパズルのピースのように、私の心にピタッと答えが埋まっていくように感じました。

 

「幸せ」は笑顔でいることだそう。

でも作った笑顔じゃなく、心からの笑顔。

 

単純だけど、「心からの笑顔」ってどれくらいできているのだろう。

そしてさらに気づかされる一文。

 

「自分しか自分を幸せにできない」

 

これにはハッとさせられました。

気づいていた事のようで気づいていなかった。

 

人に幸せにしてもらうってよく聞くけど、それはやっぱり違ってて、自分の行動の積み重ねで決まっていくものだから。

と解釈しました。他力本願だとだめですね。やはり自分。

 

そして「何のために生きるか」という私の漠然とした疑問。やはり示されていました。

 

それは

「幸せにくいのないように」

 

何度も生まれ変わるけど「今世は一度きり」だと。

 

そして私はそれを子どもたちに伝えていけばいいんだ。と仕事に対してまた大きな柱が立ちました。

 

【かみさまは中学1年生】の方は

母親と赤ちゃんなどの関係の話が多くありました。

世の中のお母さんたちにぜひ読んで欲しい。

 

本に書かれていることを「ほんとかなぁ~?」と疑うこともありました。

でも信じた方が幸せに近づける気がします。

それなら自分が幸せになるために信じてみようと思いました。

 

心が温かくなる本です。

とても元気をもらいました。

 

読書ノートは

オレンジの字が【かみさまは小学5年生】からの言葉

水色の字は【かみさまは中学1年生】からの言葉です。

f:id:rin_apple:20200220222130j:plain

 

twitter.com

【教室の中の困ったを安心に変える102のポイント/菊池省三】

f:id:tomo_book_aya:20200218234731j:plain

 

困ったを安心へ

  教室で過ごしていると、毎日のように「困った」ことが起こる。それが教室であり、一つ一つに対して、教師がどのように対応するのかを子どもは見ている。

 自信なさげに対応するのか、

 それとも、

 余裕をもって対応するのか。

 違いは明確である。

 

教授行為

 51の教授行為のポイントを菊池先生が挙げられている。

 その中の1つ、

 

 「80%の声は穏やか。10%が一人ひとりに対して。10%は少し張り上げて全体へ」

 (17ページ参照)

 

 と述べられている。

 荒れている教室では、この声の比率が大きく異なるのではないであろうか。

 教師が穏やかだからこそ、子どもが穏やかになり、教室が穏やかになる。

 我が師匠のおひとり、S先生にも

 

 「テンポはいいけど、指示ははっきりとゆったりと言ってみたら」

 

 とご指摘いただいたことがある。

 話す時は、テンポが大切と言われるが決して速く話せばよいというわけではない。

 声の質の使い分けにも、重要な要素があるとこの本から学んだ。

 

読む

 これは私が小学生時に相当苦労した。

 人前で読むことが嫌すぎて、泣くような子どもであった。

 そんな私が今はこうして「先生」になっている。

 人生は不思議なものだ。

 いつか

 

 「人前で話すことが極限に嫌いだった私が、教師になるまで」

 

 みたいな記事を書こうかなと思う(笑)

 やはり雰囲気作りが大切なのだろう。

 「全体で読む前に、一人で読む練習をさせる」

 との記事があった。

 これは、子どもに安心感を与えるための教師からの仕掛けであろう。

 読む場所を限定し、ここだけは完璧に読めるという部分を作ってあげることも必要だろう。

 大きな声を出す子が正義ではない。という価値観を子どもにも持ってほしい。

 

書く

 「ノートは、作戦基地である」

 という概念。

 これは、ノートの見方を楽にさせる。

 子どもの中には、

 「ノートは黒板を写すだけのもの」

 「ノートはきれいに書かなければいけないもの」

 という認識が強いのではないであろうか。

 この本では、そのようには考えない。

 

 ノートは、自分の思考を整理し、深めるものである。という考えなのであろう。

 

 たしかに、大人になって「きれいに」ノートを書くことって少ないのではないか。

 それよりも、

 自分がふと思った時に、

 気になるアイデアが出てきた時に、

 すてきな言葉を知った時に、

 

 「ぱっと」書くのがノートの中心的な役割になっているのではないか。

 

 ノート指導も考え物である。

 

豊かな対話・話し合いの授業

  2020年の学習指導要領改訂において、

 「主体的・対話的で深い学び」

 が大きなテーマになった。皆さんはどのようなものかイメージできるであろうか。

 実は、教員でもほとんどよくわかっていない。

 そこにアプローチしているのが本書である。

 

聞く

 「核」となるのは、「質問力」であろう。

 他人に質問することは「恥ずかしい」こと。

 他人に質問することは「だめ」なこと。

 そう考える子どもも大人も多い。

 かくいう私も、今でも質問は苦手だ。

 

 「質問力は、スキルだ」

 

 と教えることも大切になると私は考える。

 

話す

 よくみる「おなじです!」と全員が答える光景。

 これほど気持ち悪い光景はない。

 みなさんはいかが思うか。

 だれかが答えを言い、それに対して

 「おなじです」

 と、機械のように答える光景を。

 

 私は、気持ち悪くて仕方ないように思える。

 もっとふらっとに、もっと気楽に、時にぴしっと、

 話すことを楽に考えたい。

 本書の中で、話すことを上手く崩す場面が見られる。

 

話し合う

 話し合いには、「スキル」が必要だと本書は述べているように感じる。

 お互いの意見を発展させるために、

 「つなぎことば」を教えたり、

 「クッションことば」を教えたり、

 まずは、「型」をきっちりと教え、習得できたら「自由」を伸ばしていく。

 

 

twitter.com






 

教室の中の困ったを安心に変える102のポイント

教室の中の困ったを安心に変える102のポイント

  • 作者:菊池 省三
  • 出版社/メーカー: 中村堂
  • 発売日: 2020/01/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【店長がバカすぎて/早見和真】

f:id:tomo_book_aya:20200218172351j:plain

店長がバカすぎて 早見和真

 

2020年本屋大賞ノミネート作品

 

吉祥寺にある武蔵野書店本店に勤める谷原京子(たにはらきょうこ)、28歳、独身。

谷原京子は、山本猛(やまもとたける)という名前ばかり勇ましい店長にいつも苛立たされていた。

「バカ」な店長に振り回され、トラブルに巻き込まれ、「天中殺」な日々を送る主人公。

「作家のサイン会」「新年特大号」「ダミー客注」など、書店員あるあるが散りばめられた物語。

 

 

書店員さんの苦悩がリアルでありながら、コミカルな内容に笑いが止まらず一気読みでした。

 

武蔵野書店の忠実な犬である山本店長の、従業員に対する熱すぎる熱、少しずれた感覚。

なんだか憎めない人柄に、時にはイライラ、時にはソワソワ、時にはワクワクしながら、こんな感じの人いるなーなんて他人事ではなくなり、主人公に親近感が湧いていました。

 

舞台は街の書店。出版業界。

本好きにはたまらない環境と、共感できる言葉が沢山ありました。

 

昔より本が売れなくなったとしても、本はおもしろくなり続けていると思うんです。それを読者に届けられないのは私たちの敗北。そんなふうに思うようになりました。

 

インターネットが普及し、本が売れなくなり、本屋が激減している今。

20年前に比べると街の書店は半数以下にまで減っていると言われます。

コンビニからも本や雑誌の棚が撤去され、そこに新しくイートインスペースが配置されていたり。

とても悲しい現実です。

 

しかし、SNSや読書会といったコミュニティを通じて、共通の趣味を持つ人間が出会えるきっかけでもある「」や「読書」。

個人見解になってしまうかもしれませんが、まだまだ需要は高く、今このブログを読んでいただいている方も同じ意見であることを願います。

 

あっさりと読める作品ですが、書店や、出版業界、作家といった様々な人の出会い。

そこから私たちの手元にやってくる素晴らしい作品の一つ一つを大切に、今後も沢山の素晴らしい作品に出会っていこうと前向きにワクワクしながら、本に関わる人々へ感謝を贈りたい!そんな気持ちになります。

 

書店員さんが選ぶ「本屋大賞」!

書店あるあるが書店員さんの心を掴みノミネートに至ったのではと勝手に思っている部分がありました。

実際に読んでいて一般の私でもそのノミネートに納得する内容。

タイトルとコミカルな内容からは想像出来ませんでしたが深い内容でした。

 

帯にもある「ラストに驚愕のサプライズ!!!

驚きつつもなんだかほっこりと笑顔になりました。

 

好きな本たちに囲まれ、好きな物語を好きな作家から受け取って、愛すべきお客様のもとへ大切にお届けする。

 

書店員さんってすごい!

 

 

twitter.com

【熱源/川越宗一】

f:id:tomo_book_aya:20200216101759j:image

 

2020年本屋大賞ノミネート作品

第162回直木三十五賞受賞作品

第22回大藪春彦賞候補作品

 

 

「滅びゆく民」と言われたアイヌ民族

それでもアイヌとして生き、やりとげなければならないことがある。

北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。

現代からは想像もできない厳しい環境の中、「熱」を求めて力強く生きていく人々がいた。

 

 明治維新後から第二次世界大戦までのアイヌの歴史を、史実をもとに描いたフィクション作品。

 

 

テレビや教科書では知ることのなかったアイヌ民族の歴史や真実。

なぜこんなにも大切な歴史を私は知らずにいたのかと後悔しました。

 

どこまでが史実なのか分からなくなるほどの現代に生きる様々な歴史の詳細。

有名な歴史上の人物「金田一京助」や、あの「南極探検隊」。

語り継がれるべきアイヌの歴史がそこにあった。

 

スケールがでかく、壮大なストーリーにかなり時間をかけて読みました。

読了後は、正直この作品をどう紹介すれば良いのかと戸惑い、躊躇するほどの内容。

アイヌについて調べながら読み込みました。

 

 

アップリケや刺繍の施された民族衣装アミプ

歌で文化を語り継ぐユーカラ叙事詩)。

喜びや悲しみを体で表現するムックリトンコリ(踊りや楽器)。

美しい(ピリカ!)アイヌの文化は今の現代も語り継がれている。

 

私たちの生きている時代のどこかで、アイヌの子孫は変わらず、あるいは変わりながらも、きっと生きている。

 

戦争や伝染病などの描写もあり、詳しく調べると目も向けられないほどの悲劇。

そんな環境下でも、自分の民族を誇りに思い、闘い、守る。

ヤヨマネフクやブロニスワフ達の思いは今現代も生きて語り継がれている。

幾度の難題に立ち向かいながら、時には死と隣り合わせになりながらも、それを守り抜いてきた人々の「熱」を感じ熱くなる。

 

この先も沢山の人に、知って欲しい!読んで欲しい!歴史小説でした。

 

「生きるためのだ」

 

アイヌ」とは「」を意味する。

 

twitter.com